top of page
折り畳まれた青い紙

催眠の臨床応用
〜EMDRの精度を上げる手法〜

動画A

仁木啓介(ニキハーティーホスピタル 会長)

 高石昇は、「潜在covert催眠療法のすすめ」と題して、「心理療法統合がすすむと様々な複合的治療が行われる様になるであろう。その中で、催眠併用を名乗らずに催眠的要因を付加する治療法が考えられる。」と述べている。臨床催眠は、多くの心理療法に利用する事ができ、EMDRでも同様の効果を得ることができる。一方、EMDR(Eye Movement Desensitization and Reprocessing:眼球運動による脱感作と再処理法)は、つらい体験や心の傷(トラウマ)の影響を和らげるための心理療法で、1980年代に、フランシーン・シャピロ により開発された。
現在では世界中で広く用いられており、PTSDだけでなく、事故・災害・いじめ・DV・虐待・喪失体験・医療体験など、さまざまな「こころに強く残る体験」に対して活用されている。出来事を細かく長時間話さなくても進めることもでき、“脳の情報処理を助ける”ことを重視するトラウマの治療法である。世界保健機構、アメリカ心理学会、国際トラウマティック・ストレス学会などで、有効な治療法だと認められ、アメリカ退役軍人省でも、EMDRの有効性を認め、PTSD治療の第一選択の一つになっている。


 当然、どの様な治療に於いても、信頼関係の構築は必要であり、その上で、EMDRを安全に進めるための、準備段階でのアセスメントや、感情調節の支援や心身の安定化など、すべての段階に於いて、臨床催眠は関与できる。更に、EMDRの両側性刺激による脱感作段階に於いても、催眠的要因を付加することができるし、解離のケースに於いては、自我状態療法も利用する。また、イメージや感覚を扱う場面に於いて、催眠テクニックを持っていると、EMDR自体の精度を格段に向上させることができる。その場合、催眠状態は深くある必要はない。自然に又は意図的に起こしたトランス状態を、適切なタイミングで、どのように利用するかが、ポイントになる。
 

 演者は、EMDRの特徴と有効性を紹介し、催眠とEMDRの違いを提示しながら、催眠が本来持つ有効な部分を、如何に「Utilization」するのか、を述べながらEMDRの精度を上げる手法を紹介する。合わせて、演者が実際にEMDRを使用したケースについて、ポリベーヴェーガル理論というレンズを通して、今の自律神経の状態をモニタリングしながら、EMDRのなかで、臨床催眠も利用したケースについても紹介したい。

bottom of page